パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

コロナウイルス1:知事、コメンテーターの採点表(2020.04.10作成)

4月7日、日本国政府としての緊急事態宣言が出された。

 

2月下旬に北海道知事が非常事態を宣言し、外出自粛を訴えていたので、今更の感がある。安倍総理も2月下旬に唐突に学校休校を求め、大騒ぎとなった。五輪開催延期決定後の小池都知事の方針転換は鮮やかだが、都民の一人としては3月20-22日の三連休は恨めしく思い出される。晴天で気温が上がり桜も開花した。北海道知事も引き続き連休中の外出自粛を求めてはいるものの、3月19日に非常事態宣言は引っ込めた。同じく連休前の専門家委員会の尾身さんのメッセージも「心配ないさ」と受け取られた。これで外出を決めた人も多かったと思う。

 

自治体の長のメッセージ、有識者のメッセージは効くのだ。昨年の台風の時に初動が遅れ、行先不明となった知事の県民でなくて良かった。

 

知事はじめ、テレビのコメンテーターや感染症の専門家たちのメッセージも採点してみると面白い。ナビタスクリニック理事長の久住先生は「あなたもコロナ?」程度に捉えておけばいい、と超楽観論をニコニコしながら述べる。ガタイが大きく、見てくれもいいのでつい信じたくなるが、圧倒的な少数派だ。白鴎大学の岡田晴恵教授は、政府や医学界の主流にとって都合の悪いことを言うので、毀誉褒貶が多い。政府批判をしたいグループには人気だが、ミソジニ―系の男性には受けないようだ。少女漫画のように髪をカールして登場するのは不可解だ。同じ女性だが、濱木珠恵ナビタスクリニック新宿院長の方が年も若いし服装も普通にフェミニンだが、岡田さんと違って場違いな髪形や服装ではないので信頼度が増す。

 

政府の対策を説明(擁護)するには、政治評論家の田崎史郎は欠かせない。政府批判のモーニングショーの玉川徹氏と毎朝バチバチやっている。スシロー氏は100%安倍政権擁護であることが鼻から明白だが、自民党内部の安倍さんの政敵というか、安倍さんに都合の悪い人物を貶めようという意図が見え見えである。今年の夏の都知事選挙では自民党も小池さんを押すことを決めているのだが、毎回小池さんのロックダウン発言は「いただけない」、「失言だ」、「都民に緊張が走った」、「あれで政府は身動きがとれなくなった」等々小池批判をチラチラ匂わせる。今は理髪店を自粛要請業種に入れるかどうかで、小池さんと西村経済再生担当大臣の間で溝があるとのこと。北海道知事は2か月以上前に自治体独自の措置を打ち出したのだが、これは鈴木知事が菅官房長官と密に連絡を取っての上のことだから問題ないそうである。スシロー氏によれば。まあ、小池さんは自民党にとってみれば忠犬ではなくじゃじゃ馬だから気に要らないのだろう自民党というか菅さんの全面的なバックアップがあって知事選を勝ち抜いた鈴木知事と、反自民で知事選を戦い、人口1000万を超え、税収もたっぷりある東京都知事に同じ扱いはできない。年齢もキャリアも違う。鈴木知事はもちろん若いのに天晴だと思うが、小泉進次郎氏が地に落ちてしまった今、日本国首相候補の若手として、スシローに褒められすぎはかえって危険かも知れない。賢い苦労人だから、反対派も取り込む度量のある政治家であって欲しい。見てくれも申し分ないし。

 

スシロー氏は、愛知の大村知事や大阪の吉村知事もチクリチクリ非難する。いずれもキャラの立つ知事だから仕方がないが、もうそろそろスシロー氏も引退してはと思う。69歳だそうだ。

 

今日の「ひるおび」でも、スシローはパチンコ店を営業休止業種に含めるという小池都知事は「一見頼もしく思えるかもしれないが、東京でパチンコができないとなると、近隣県にパチンコをしに行く都民が出てくるから、都知事の厳しい方針は得策ではない」とかなんとか言っている。そんなもん、近隣県はもちろん全国的にパチンコ店を対象にすればいいので、小池攻撃の材料、中央政府擁護に使う論理としては、スシローボケてる、と感じる。政権は非公式スポークスマンとして、テレビ局は政権の内実を知る情報通として重宝しているのだろうが。

 

論敵玉川徹氏も眉唾だ。今朝はアイスランドはロックダウンをせずにうまくコロナウイルス感染を封じ込めている、と褒めていた。アイスランドは人口36万の島国である。東京都は927万人。近隣からの毎日多数の通勤者が行き来する首都である。同列に論じるには無理がある。

 

感染症の専門家にテレビの出席枠を奪われてしまった国内政治、国際政治、アメリカ政治、北朝鮮情勢、中国情勢の専門家たちもコロナで収入が激減した人たちだ。1世帯当たり30万円給付を申請するのかな?彼らは非課税世帯なのかな?                                       (了)