パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

小池百合子都知事の誕生(2016.08.01作成)

ぶっちぎりの勝利。7月31日午後8時の投票締め切り直後に「当選確実」。あっぱれ!

 

小池候補と増田候補の違いは、起業家と雇われ社長の違い。本気度としがらみのなさが歴然としていた。

 

もちろん、弁舌のうまさも素晴らしく、敵失も幸いした。「厚化粧の大年増」なんて言う人が、ついこの間まで東京都知事だったのだ。ジャンヌ・ダルクはもっと若いという迷言を発する自民党幹部もいて、敗色濃くなると貧すれば鈍する。同じ自民党でも笹川元総務会長は、石原元都知事や女性の年齢がまず気になる深谷東京都連最高顧問と同年代、小池候補を応援した東京地検検事出身の若狭勝議員も男性だ。男性だから、年配だからと十羽ひとからげにしてはいけないのだろう。

 

女性として学ぶべきことがある。17日間の選挙期間中も、前都知事の辞任がちらつき始めて以来のメディア露出の期間中も、ビシッとメイクをし、髪もきちんとセットされていた。浴衣姿もあでやかで、百合子グリーンを使ったファッションはさりげなく上品で、勝負服というとど派手な原色の服で登場する他の女性政治家とは違っていた。当確が出たときのジャケットもベージュ。師と仰ぐ小泉元首相のファッションアドバイザーは実のお姉さんだというが、小池さんにも、センスのいいファッションアドバイザーが、選挙参謀SNSを使った戦略家と同様に、そろっているのだろう。そういう人を集められるのも、ご本人の力量だ

 

電柱地中化待機児童問題をも念頭に入れた空き家対策、スモーク・フリーの東京オリンピックパラリンピック実現で力を発揮してほしい。環境大臣時代のクールビズ導入は、お金を使っていない、考え方を変えただけだ、とご本人もおっしゃっていたが、男性はとかく事業予算拡大こそ自らのパワーの証と考えるところがある。制度を変えることによって、人々の行動を変える、という智恵のある政策は大歓迎。東京は部分的にはニューヨーク、ロンドン、パリ以上の魅力をすでに持っている。世界のお金が集まる町にして、それを上手に売り出してほしい。

 

発信力と華の双方を持った女性都知事誕生は、女性の活用を成長戦略に組み入れたいとしている安倍政権にとっても朗報のはずだ。

                             (了)