パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

宮内庁は鹿鳴館?オバマ大統領の宮中晩餐に思う(2014.04.26作成)

オバマ大統領が国賓として訪日。宮中晩餐で供された食事のことがニュースで話題になっている。

 

フランス料理だそうである。お酒はフランスのシャトー・ナントカという非常に高価なワインで、160名余の招待客に提供するのだから、大変な額だ。

 

なぜ昨年ユネスコ世界遺産となった「和食」にしないのか。「国賓」として遇するのは、相手国の最も高い位の人である。国王、女王という王族や大統領という国家元首に最高級の「和食」を味わってもらう必要はないのか。

 

それから、和食とともになぜ日本酒を提供しないのか。TPP交渉で牛肉、豚肉の関税レベルをめぐって難航している。米は牛肉、豚肉以上の「聖域」だ。その日本米を使った最高級の大吟醸を提供し、外国に日本酒のファンを増やしてこそ、日本のコメを守り、海外への輸出への道筋をつけることになる。政府がやらなければならないことだ。

 

日本の一部のつくり酒屋が民間レベルで海外販路の拡大に苦労している中、日本政府は後押ししないのか?京都の料亭「菊の井」が和食の世界遺産登録に奔走するのを、日本政府は支えた。

 

宮中晩餐を仕切るのは、基本的には宮内庁だ。外務省も主管課(オバマ大統領の場合は北米局)や国賓の接遇にあたる儀典も一定の口出しはするが、最終的には宮内庁予算である。

 

ケネディ大使の信任状奉呈の際も明らかになったが、宮内庁が提供するあの馬車に御者。日本には古来の文化もあるんだけれど。

 

皇后陛下は着物でオバマ大統領を迎えておられた。雅子様のバッグがフェンディだとかなんとか叩いていた週刊誌があった。皇室こそメイド・イン・ジャパンを完遂して欲しいと思うのだが、フランス料理にシャトー・ナントカ。

 

21世紀になっても鹿鳴館時代を生きる宮内庁で意志決定をしているのはどなただろう。他省庁出身の長官?それとも天皇陛下ご自身?           (了)