パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

セブンイレブンの24時間営業(2019.02.21作成)

大阪のセブンイレブンのオーナーが、配偶者の他界後、人手不足にたまりかね、24時間営業をやめることにしたら、本社から契約違反で約1700万円もの違約金を求められたという。

 

2時間刻みの宅配が立ち行かなくなったのと同様、もう日本はそんなに便利さを追求しなくてもいいのではないかと思う。24時間営業をやめると言っても、午前6時から翌朝1時までの19時間営業!「セブンイレブン」なんだから、朝7時から午後11時までで名実が一致する。

 

深夜に働く人、早朝出勤する人のためには24時間営業はありがたい。海外、特にドイツやフランスでの滞在経験があると、日本の便利さが懐かしい。おまけにコンビニの商品は本当にきれいに並んでいるし。ヨーロッパで深夜営業をしている食料品店は、汚らしかったし、アメリカのセブンイレブンも、床の掃除が行き届かず、商品も不潔な感じがした。

 

日本のコンビニの素晴らしさは、フランチャイズ契約をしている店舗オーナーとアルバイト店員の苦労の賜物だ。オーナーも大変だろうが、売り上げ現金が合わないと、バイトに弁償させるケースもあるという。100%キャッシュレスになれば、こういう問題も生じないが、税金の支払いや1円切手の購入もコンビニでできるので、現金支払いはなくなりそうもない。唐揚げやコロッケを揚げる一方、スマホに取り込んだデータをプリントアウトできる機械が使えない客の支援もさせられる。

 

折から飲食店でのバイトテロが相次いだ。コンビニおでんも飲食物だ。おバカなことをしてSNSに投稿するのは、確かに愚かだが、多くのアルバイト店員は時給800-900円くらいで、あらゆることをやらされている。コンビニの親会社も、宅配会社も、アルバイト店員や配達ドライバーがいて成り立つ事業形態だということにそろそろ気づくべきだ。

 

今日、書店でデービッド・アトキンソンの「新・生産性立国論」をざっと目を通したから、同氏の「日本でバカなのは労働者ではなく、経営者」という毎度の主張に合点がいった。確かにバカッターはいるのだろう。が、多くのコンビニ店員や宅配ドライバーは、あれだけの仕事を間違いなく時間に追われながらこなしているのだ。安い時給でこき使い、日本人では対応できないと移民労働者、というのでは経営者として智恵がなさすぎる。フランス人店員なら、客を延々と待たせても自分のやりたいことを優先する。それで、黄色いベスト運動で大統領に譲歩させる。これからは日本の末端の労働者が少々トンチンカンな対応をしても、フランスのことを思い出して怒らないようにしよう。

 

24時間営業を見直し、立地やオーナー及び店員の事情を汲んだ事業形態にならないと、コンビニも存続できない。深夜に営業していると、強盗のリスクもある。

 

地方都市で夜コンビニの灯を見つけ、「開いてて良かった」と心底思ったことがある。が、我々も生活スタイルを見直した方が良い。深夜や早朝に仕事する人は、コンビニの開いている時間に買っておく工夫も必要だろう

 

コンビニ本社は少しでも売り上げを増やしたいがために、営業時間が長い方を望むらしい。生産性など二の次。アマゾンの無人店舗の方が、生産性は高そうだ。 (了)