パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

18歳の女の子がウソをつくはずがない(2018.08.31作成)

若い女性に対する、根拠なき好意的な見方に驚く。8月29日の女子体操宮川紗江選手の記者会見での発言についての、日本体操協会具志堅幸司副会長のコメントだ。同じ肩書の塚原光男副会長が前日、「彼女の発言はウソ」という趣旨のコメントをしたことを受けての反応のようだ。

 

10年以上前、瀋陽にある日本総領事館脱北者一家が逃げ込んだ際、「女性がそんなことをする訳がない」という趣旨の発言をした人もいる。国会議員だったか、テレビのコメンテーターだったか。

 

女スパイは昔からいる。女子工作員によるハニートラップに簡単にかかりそうな人が日本では枢要な地位についているのだ。あぶない、あぶない。

 

女性に対する根拠のない好意的な見方の一方、東京女子医大では、女性受験生は一律に減点していたという。私が外務省を受験したのは40年以上前だが、「結婚したらどうするのか」という今ではNGの質問も面接官から発せられた。海外勤務が当然の外務省では、女性の合格者を意図的に出さないようにしている、と言われていた。

 

あれから40数年、もう時代は変わったのだろうと思っていたら、女子受験生の減点に加え、女性はそんなことをするはずはないという、的外れの意見。ため息が出る。

 

ところで、ツイッタートランプ大統領をフォローしている。ほとんどまともに読んだことはないが、最近メラニア夫人がスコップを持って穴を掘っている写真を、大統領が誇らしげに掲載していた。大きな花柄のノースリーブのブラウスにピンクのフレアスカート、10センチ以上はあるかというピンクのピンヒールを履いての穴掘りである。ブロンドの長い髪をたらし、整形したアンジェリーナ・ジョリー叶恭子のクローンのような顔で、何世紀にもわたり中国女性の自由を奪ってきた纏足を彷彿させるピンヒール。

 

これが人類史上、女性が自らの自由を謳歌し、権利を獲得するために最も活動してきた国である米国のファーストレディの姿である。米国で女性であることも大変なのだ。日本だけの問題ではないが、在日米国人特派員は、相変わらず日本女性が虐げられていると報じるのだろうけど。      (了)