パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

外食は安いものだと思いこんだ私たち(2019.02.23作成)

前回、セブンイレブンの24時間営業についてのブログでも言及したデビット・アトキンソン氏であるが、またまたに外食が安すぎる日本について書いておられる。(東洋経済オンライン「日本人が大好きな『安すぎる』外食が国を滅ぼす」)

 

ビックマック指数によると日本は世界30位でポルトガルやタイより安いとのことだ。別にビックマックに限らず、スタバのフラペチーノも香港やソウルより日本の方が安いと感じた。バブル時代、日本の物価が高い、高いと言われていたが、今昔の感がある。為替レートも影響しているのだ。アベノミクス、黒田バズーカは間違いなく「円安」を歓迎している。

 

新幹線の車内販売をやめるというニュースがある。東海道新幹線の【新幹線弁当】は。1000円だか1080円だかで、色々なおかずに、2-3種類のおにぎりが入っている。安いし結構おいしい。世界1-2の物価高を誇るスイスなら、サンドイッチ一つでも1000円くらいする。バゲットを開き、バターを塗り、ハムとチーズを挟んだだけ。

 

日本でなら、1000円以下のスーパーの寿司でもおいしい。フランスの有名高級惣菜店エディアールで干からびた寿司が2-3000円もした。

 

すべて人件費を抑えることで成り立つ日本の安い外食、弁当類だ。日本の経営者が愚かだと繰り返すアトキンソン氏は、ここでも経営者の歪みだと指摘する。

 

絡みついたヘッドフォンの線をいかに早く元通りにして次の利用者に提供できるかについて天才的な才能の女性がテレビで紹介されていた。100種類もあるパン屋で、価格表を見なくても高速レジ打ちができる店員さん(女性)。短い制限時間の中でたくさんの料理を作ることができるカジエモン(男性)。彼らの特技は、タイピストや駅の切符きりの仕事がなくなっていったように、消えてしまう運命かもしれない。彼らを安い給料で必死に働かせるより、彼らの能力が発揮でき、なおかつ給料が高い別の分野を開拓するのが経営者だろ、とアトキンソン氏は言いたいのだろう。

 

料理がいくつ早く作れるかより、美味しいものをもったいぶって提供して客を待たせる方が高い値付けができるレストランもあるのだから。

 

この記事を読んでいつもは1000円程度ですます昼食が、今日は1650円になった。十割そばを使った天ざる。まあ、おいしかった。天ぷら油の換気も行き届き、店の雰囲気も良かった。モノはできるだけ買わないか再利用するか、に腐心している自分にできることは、お金のない若者が500円の弁当を探している時に、同じように安いものを追いかけないことだ。

 

中部大学に講義に行くとき、学生は駅からスクールバスに乗って丘の上のキャンパスに向かう。学生のお小遣いよりたくさん給与を支給されているのだからタクシーを使おう。もっとも大学から支給される交通費では、東京から愛知県春日井市まで通うと足が出るのだが、もういい。自分も楽だし、安さの追求で国が滅んでは元も子もない。貯めこんで振り込め詐欺に遭うより、まず使おう。       (了)