パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

18歳の女の子がウソをつくはずがない(2018.08.31作成)

若い女性に対する、根拠なき好意的な見方に驚く。8月29日の女子体操宮川紗江選手の記者会見での発言についての、日本体操協会具志堅幸司副会長のコメントだ。同じ肩書の塚原光男副会長が前日、「彼女の発言はウソ」という趣旨のコメントをしたことを受けての反応のようだ。

 

10年以上前、瀋陽にある日本総領事館脱北者一家が逃げ込んだ際、「女性がそんなことをする訳がない」という趣旨の発言をした人もいる。国会議員だったか、テレビのコメンテーターだったか。

 

女スパイは昔からいる。女子工作員によるハニートラップに簡単にかかりそうな人が日本では枢要な地位についているのだ。あぶない、あぶない。

 

女性に対する根拠のない好意的な見方の一方、東京女子医大では、女性受験生は一律に減点していたという。私が外務省を受験したのは40年以上前だが、「結婚したらどうするのか」という今ではNGの質問も面接官から発せられた。海外勤務が当然の外務省では、女性の合格者を意図的に出さないようにしている、と言われていた。

 

あれから40数年、もう時代は変わったのだろうと思っていたら、女子受験生の減点に加え、女性はそんなことをするはずはないという、的外れの意見。ため息が出る。

 

ところで、ツイッタートランプ大統領をフォローしている。ほとんどまともに読んだことはないが、最近メラニア夫人がスコップを持って穴を掘っている写真を、大統領が誇らしげに掲載していた。大きな花柄のノースリーブのブラウスにピンクのフレアスカート、10センチ以上はあるかというピンクのピンヒールを履いての穴掘りである。ブロンドの長い髪をたらし、整形したアンジェリーナ・ジョリー叶恭子のクローンのような顔で、何世紀にもわたり中国女性の自由を奪ってきた纏足を彷彿させるピンヒール。

 

これが人類史上、女性が自らの自由を謳歌し、権利を獲得するために最も活動してきた国である米国のファーストレディの姿である。米国で女性であることも大変なのだ。日本だけの問題ではないが、在日米国人特派員は、相変わらず日本女性が虐げられていると報じるのだろうけど。      (了)

 

災害時の救済―優先順位は?(2018.09.10作成)

9月4日、台風21号が関西に残した惨状に驚いている最中、北海道で震度6強の地震

 

人間の歴史は、自然災害の被害を少なくし、最大の人的災害である戦争勃発を抑止するかであった。

 

都市と地方のいずれが自然災害に強いか、という論争がある。大阪、神戸、京都という大都市を抱える関西を最強台風が直撃して死者10名。7月に岡山や広島を襲った豪雨での死者は200名以上。

 

関空の復旧はどれくらい時間がかかるのだろう。海面に浮かぶ人工島だから浸水は想定内だったのだろうが、タンカーが連絡橋に衝突する、という事故が重なった。人工島の被害は、土砂崩れや川の氾濫が予想される地域を宅地開発して生活していたという岡山、広島の被害拡大に通じるものがある。もともとリスクはあったのだ。それでも24時間発着可能な空港は、インバウンド観光客による関西経済圏の活気に繋がっていた。伊丹空港では、インバウンド効果は得られなかっただろう。

 

最近、ルフトハンザ航空のオーバーブッキングでひどい目にあった、という体験者の報告を目にしたが、関空に閉じ込められた3-5000人もの客や従業員を、台風の翌日早朝から高速船で神戸に運んでいるニュースを目にすると、危機管理は機能しているとうれしくなる。1航空会社だけの問題と空港機能全体の問題は一律に比較できないが、時間が来たら有無を言わず作業を打ち切るドイツ人と、サービス残業もいとわない日本人との差も垣間見られる。不眠不休で働いた関係者には、相応の対価を払ってあげて欲しい。

 

地方での自然災害というと、数年前、白馬村地震に遭遇した。実際倒壊する家屋も多数あったが、死者はゼロ。普段からご近所で声を掛け合っているので、避難所に誰かがいないとすぐにわかり、救援にかけつけることができたから、という後日談を現地の方から聞いた。これには、「絆」は言いかえれば「しがらみ」ともなるという見方ができる。白馬村では、年間6-7万円もの自治会費を納めないと、地域のゴミ集積所も利用させてもらえないらしい。地方の村では普通のことだという。7万円納めていれば、ゴミも捨てられるし、何かあった時の声かけもしてもらえる、ということだ。

 

ともあれ、首都直下型地震南海トラフの可能性は現実の今そこにある危機大規模災害の際、誰をどこまで優先順位をつけて助けるか、という議論は、官邸の奥では秘密裡にされているのかも知れない。最近この問題につながる3つの事件があった。

 

1.終末医療施設のエアコンが壊れて、年配者が亡くなった

2.障碍者施設で多くの障碍者を殺傷した受刑者が本を出版するという

3.杉田水脈参議院議員の、「LGTBの人は生産性がない」という「新潮45」への寄稿

 

人間に優越はない。緊急事態でもないのに、あの人たちは生産性が低いから税金で支援する必要はないと主張し、自分の子どもは一人だけで「再生産レベルに達っしていない」国会議員はまことに困ったちゃんだ。が、本来平等であるべき人間をどうしても選別せざるをえない緊急事態において、より多くの人を救える方法や全体利益をいかに増大させるかについては、バッシング、炎上覚悟で議論しておいた方がよい。

 

飛行機に乗ると、毎回救命器具の使い方説明がある。子ども同伴の場合、まず親(保護者)が救命器具を確実に着けてから、子どもの装着にかかれと言う。①親も子どもも助かる、②親だけ助かる、③親も子どもも命を失う、という三つの可能性の中で、まず親が助かる準備をすることで①の可能性を高める。納得できる。

 

東西冷戦の頃、ロシアによる核攻撃が現実ものであった永世中立国スイスでは、各住戸が核シェルターを設けることを義務付けていた。そして、核兵器が使用された場合は、人口の3割が助かればよい、という歩留まりを想定していたという。日本なら、全員救助、という現実的でないことを表向きは言わざるを得ないのだろう。

 

一時流行ったハーバード熱烈教室で、マイケル・サンデル教授は「正義の話」の一つに、危険にさらされているのは二人だが、一人しか助けられないときどうするか、を議論の例に取り上げていた。

 

都市と地方の話にもどれば、東京都港区の何億円もする高級マンションは、最新鋭の免震構造の建物で防災センターがあり、マンション住民のため食料、水を備蓄し、自家発電装置まであるそうだ。大規模自然災害の際でも、高収入で、稼ぐ力の強いこういうマンションに住む人は生き延びる可能性が高い。こういう稼げる人たちが復興に寄与してくれる、ということか。わざわざ政府が物議をかもして救済の優先順位をつけなくとも、自ずと選別されているということなのだろう。千代田区、港区、中央区に本社を置く法人の税収も相当な割合を占める。都心3区に住まない私だが、それでいいと思う。

                             (了)

大坂なおみ、セリーナ・ウイリアムズ(2018.09.10作成)

2018年9月9日の日曜の朝、素敵なニュースが飛び込んできた。母親が日本人の大阪生まれ、おじいさんが北海道に住む大坂選手がテニス全米オープンで優勝したのだ。

 

先週、関西は強い台風で被害甚大、そして北海道は震度7地震に見舞われた。暗いニュースの中で、近畿と北海道に何等かの繋がりのある選手の優勝は嬉しいことだ。

 

3歳からずっと米国に住み、日本語はかわいらしい片言、身長180センチ、褐色の肌。昨年、英国籍のカズオ・イシグロ氏が英語で書いた小説でノーベル文学賞を受賞した時、「ルーツが外国にあると日本国籍でも犯罪者ならガイジン、外国籍でも栄誉を得れば日本人」とする傾向について、批判的な見方があった。

 

大坂選手は日本国籍、スポンサーは日清食品。錦織選手のユニクロのロゴがついたテニスウエアも嬉しいが、スリムで筋肉質の大坂選手がまとう黒のウエアについた赤い日清食品のロゴも印象的。ユニクロジョコビッチ選手のスポンサーでもあるが、錦織選手が14連敗する天敵No1なので、ちょっと複雑だ。錦織選手も大坂選手もヨネックスのラケットを使っている。日本以外の国で製造されているのかもしれないが、日本メーカーというだけで嬉しくなる。多分、アメリカ人もフランス人も中国人も自国メーカーや製品について同じように感じる人が多いのだろう。貿易戦争が起こるゆえんだ。

 

決勝でセリーナ・ウイリアムズと対戦するなんて、本人も言っていたがすごいことだ。今回の決勝は、主審に対する批判が集まった後味の悪いものだったが、セリーナの主審への言い分や、試合後の大坂選手への対応、表彰式で観客の主審に対するブーイング制止を求める発言はさすが「元女王」の貫禄。

 

テニスのトップ選手は白人が多い中で、黒人のウイリアムズ姉妹は嫌な思いもしてきただろうと思う。主審に「私は人生で一度もずるいことをしていない」と懸命に抗議していたが、その昔「悪ガキ」と言われた米国人選手マッケンローもよく主審に暴言を吐いていた。どの選手も勝負、賞金、名誉をかけて戦っている。

 

セリーナ選手は、主審の自分への過剰なペナルティは女性蔑視だと主張しているようだ。米国紙の見出しにはsexistという文字も踊っている。「白人で男性である自分が、黒人で、しかも女性に暴言を吐かれる言われるいわれはない」と主審が心の奥底で思っていない、とは誰が断言できようか?

 

私はたまたま黄色人種で女性に生まれた。白人や男性という歴史上優越地位にい続けてきた人々の中で行動するとき、この人は人種差別主義者かもしれない、女性差別主義者かもしれない、という恐怖心が常にどこかにある。トランプ現象の底流はなんとなくわかる。セリーナ選手も感じてきたのだろう。若い大坂選手は天真爛漫で、セリーナより16歳も年下だから、時代は少し好転しているのかもしれない。

 

女子テニスの賞金額が男子のそれと同じようになるまで、大坂選手には頑張って欲しい。確かに、女子は2セット取れば勝ち。錦織選手が時々フルセットで5時間に及ぶ死闘を繰り広げるのを知っているだけに、男子の3セットは相当ハードルが高いものだろうと想像する。賞金を同額にするなら、女子も3セット先取になり、スポンサーの数も同じ数にならないと無理だろうか。      (了)

 

セブンイレブンの24時間営業(2019.02.21作成)

大阪のセブンイレブンのオーナーが、配偶者の他界後、人手不足にたまりかね、24時間営業をやめることにしたら、本社から契約違反で約1700万円もの違約金を求められたという。

 

2時間刻みの宅配が立ち行かなくなったのと同様、もう日本はそんなに便利さを追求しなくてもいいのではないかと思う。24時間営業をやめると言っても、午前6時から翌朝1時までの19時間営業!「セブンイレブン」なんだから、朝7時から午後11時までで名実が一致する。

 

深夜に働く人、早朝出勤する人のためには24時間営業はありがたい。海外、特にドイツやフランスでの滞在経験があると、日本の便利さが懐かしい。おまけにコンビニの商品は本当にきれいに並んでいるし。ヨーロッパで深夜営業をしている食料品店は、汚らしかったし、アメリカのセブンイレブンも、床の掃除が行き届かず、商品も不潔な感じがした。

 

日本のコンビニの素晴らしさは、フランチャイズ契約をしている店舗オーナーとアルバイト店員の苦労の賜物だ。オーナーも大変だろうが、売り上げ現金が合わないと、バイトに弁償させるケースもあるという。100%キャッシュレスになれば、こういう問題も生じないが、税金の支払いや1円切手の購入もコンビニでできるので、現金支払いはなくなりそうもない。唐揚げやコロッケを揚げる一方、スマホに取り込んだデータをプリントアウトできる機械が使えない客の支援もさせられる。

 

折から飲食店でのバイトテロが相次いだ。コンビニおでんも飲食物だ。おバカなことをしてSNSに投稿するのは、確かに愚かだが、多くのアルバイト店員は時給800-900円くらいで、あらゆることをやらされている。コンビニの親会社も、宅配会社も、アルバイト店員や配達ドライバーがいて成り立つ事業形態だということにそろそろ気づくべきだ。

 

今日、書店でデービッド・アトキンソンの「新・生産性立国論」をざっと目を通したから、同氏の「日本でバカなのは労働者ではなく、経営者」という毎度の主張に合点がいった。確かにバカッターはいるのだろう。が、多くのコンビニ店員や宅配ドライバーは、あれだけの仕事を間違いなく時間に追われながらこなしているのだ。安い時給でこき使い、日本人では対応できないと移民労働者、というのでは経営者として智恵がなさすぎる。フランス人店員なら、客を延々と待たせても自分のやりたいことを優先する。それで、黄色いベスト運動で大統領に譲歩させる。これからは日本の末端の労働者が少々トンチンカンな対応をしても、フランスのことを思い出して怒らないようにしよう。

 

24時間営業を見直し、立地やオーナー及び店員の事情を汲んだ事業形態にならないと、コンビニも存続できない。深夜に営業していると、強盗のリスクもある。

 

地方都市で夜コンビニの灯を見つけ、「開いてて良かった」と心底思ったことがある。が、我々も生活スタイルを見直した方が良い。深夜や早朝に仕事する人は、コンビニの開いている時間に買っておく工夫も必要だろう

 

コンビニ本社は少しでも売り上げを増やしたいがために、営業時間が長い方を望むらしい。生産性など二の次。アマゾンの無人店舗の方が、生産性は高そうだ。 (了)

 

外食は安いものだと思いこんだ私たち(2019.02.23作成)

前回、セブンイレブンの24時間営業についてのブログでも言及したデビット・アトキンソン氏であるが、またまたに外食が安すぎる日本について書いておられる。(東洋経済オンライン「日本人が大好きな『安すぎる』外食が国を滅ぼす」)

 

ビックマック指数によると日本は世界30位でポルトガルやタイより安いとのことだ。別にビックマックに限らず、スタバのフラペチーノも香港やソウルより日本の方が安いと感じた。バブル時代、日本の物価が高い、高いと言われていたが、今昔の感がある。為替レートも影響しているのだ。アベノミクス、黒田バズーカは間違いなく「円安」を歓迎している。

 

新幹線の車内販売をやめるというニュースがある。東海道新幹線の【新幹線弁当】は。1000円だか1080円だかで、色々なおかずに、2-3種類のおにぎりが入っている。安いし結構おいしい。世界1-2の物価高を誇るスイスなら、サンドイッチ一つでも1000円くらいする。バゲットを開き、バターを塗り、ハムとチーズを挟んだだけ。

 

日本でなら、1000円以下のスーパーの寿司でもおいしい。フランスの有名高級惣菜店エディアールで干からびた寿司が2-3000円もした。

 

すべて人件費を抑えることで成り立つ日本の安い外食、弁当類だ。日本の経営者が愚かだと繰り返すアトキンソン氏は、ここでも経営者の歪みだと指摘する。

 

絡みついたヘッドフォンの線をいかに早く元通りにして次の利用者に提供できるかについて天才的な才能の女性がテレビで紹介されていた。100種類もあるパン屋で、価格表を見なくても高速レジ打ちができる店員さん(女性)。短い制限時間の中でたくさんの料理を作ることができるカジエモン(男性)。彼らの特技は、タイピストや駅の切符きりの仕事がなくなっていったように、消えてしまう運命かもしれない。彼らを安い給料で必死に働かせるより、彼らの能力が発揮でき、なおかつ給料が高い別の分野を開拓するのが経営者だろ、とアトキンソン氏は言いたいのだろう。

 

料理がいくつ早く作れるかより、美味しいものをもったいぶって提供して客を待たせる方が高い値付けができるレストランもあるのだから。

 

この記事を読んでいつもは1000円程度ですます昼食が、今日は1650円になった。十割そばを使った天ざる。まあ、おいしかった。天ぷら油の換気も行き届き、店の雰囲気も良かった。モノはできるだけ買わないか再利用するか、に腐心している自分にできることは、お金のない若者が500円の弁当を探している時に、同じように安いものを追いかけないことだ。

 

中部大学に講義に行くとき、学生は駅からスクールバスに乗って丘の上のキャンパスに向かう。学生のお小遣いよりたくさん給与を支給されているのだからタクシーを使おう。もっとも大学から支給される交通費では、東京から愛知県春日井市まで通うと足が出るのだが、もういい。自分も楽だし、安さの追求で国が滅んでは元も子もない。貯めこんで振り込め詐欺に遭うより、まず使おう。       (了)

 

カルロス・ゴーン逮捕(2018.12.03作成)

日産の会長だったゴーンさんが逮捕されて2週間。

 

2016年秋、友人の息子さんの結婚式に参加するためフランスに行った。フランス訪問がこれが最後ならもう一度行ってみたい、と思っていたドルドーニュ地方を回ることにした。鉄道の便が悪い地方だ。

 

そこで借りた車が日産インフィニティ。事前予約の際、「アウディまたは同等の車」となっていた。恥ずかしながらインフィニティがどこのメーカーの車か知らなかった。が、運転してみてその快適さに感動した。帰国後、5000キロも走っていないホンダのNoneを売り、インフィニティではないが、同等の車に買い替えた。軽自動車でいいじゃないか、そんなに運転が好きでもないし、ホンダが本腰を入れて発表した可愛い軽自動車、何より自動車税が安いし、駐車しやすいし、と思っていた。軽なのに結構高かった。

 

それでも決意して買い替えた車は、値段は2倍以上したが、満足度は何倍も高くなった。高速道路を走るとき、加速が違う。鋼鉄に守られているという安心感もある。重い車の方が本当に安全なのかどうかはわからないが、気分が違うのだ。運転が下手な自分でも違いが判る。

 

フランスで運転した日産車には、そんな思い出がある。

 

2017年の秋学期の講義では、その年の1月の日経新聞私の履歴書」がゴーンさんだったので。グローバル人材という視点から、学生には読むように指示した。学生には当時の新聞が手元になくても、図書館で新聞の縮刷版の記事を探す経験をしてほしいという意味もあったが、主たる目的は、レバノン人で、ブラジルで育ち、フランスで勉強し、就職し、そして日本企業の再生に携わった、というこの上ないグローバルな人材の経験談を学生に知って欲しかったからだ。

 

報道で知るゴーンさんの蓄財欲は、本当がどうかわからない。個人的には「推定無罪」を貫く方が、人権を重んじる制度だと思う。が、ルノーの収益の半分は日産の貢献、ルノーの43%の日産持ち株は議決権があるのに、日産のルノーに対する15%には議決権がなく対等ではないと聞くと、ニッポンバイアスの視点=ルノー、その背後のフランス政府が悪い、日産の怒りは当然、という見方になってしまう。。

 

ルノー出身のフランス人役員は1か月も休みを取るのに、日本人の役員より報酬が多い、という報道もある。何十年も前からある「日本人が休みも取らず働いているのに」という恨み節に同情するとともに、自分たちも休めるようにすればいいのに、と働き方改革を自ら勝ち取ろうとしない同胞に若干ふがいなさも感じる。

 

それはともかく、ゴーンさんは最初の妻とは離婚していたと聞いて合点がいった。最初の妻との4人の子どもは、日本にいた頃はアメリカン・スクール・イン・ジャパンに通っていたという噂を聞いたことがある。その妻と別れ、ベルサイユ宮殿で結婚式を挙げた再婚相手は、ご多分に漏れずかなり年下らしい。「アラブの春」の引き金になったチュニジアのベン=アリ大統領の失脚前の悪評は、もっぱら若い再婚相手とその一族郎党の悪行に起因していた。糟糠の妻と別れ、若い女性と再婚し晩節を汚すのは、古今東西既視感がある。自身の権勢欲の高まりにおねだり妻が加わり、公私混同に拍車がかかる。ゴーンさんもただのオッサンだった、ということなのだろう。 

 

ブログ開設(当時は別のサイト)の第一号エントリーは、再婚若妻とその一族のハチャメチャに翻弄されたチュニジア大統領の国外逃亡劇についてだった。こちらをどうぞ。

 

カルタゴの女摂政―チュニジアの政変について(2011.01.25作成) - パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

  (了)

新元号、美智子皇后、ご成婚60年(2019.04.10作成)

4月1日、新元号は「令和」と発表された。

賛否両論、色々な意見が出るが、我々には選択肢はなく、5月1日から使い始めればそのうち慣れるのだろう。

 

元号発表の前日、皇后陛下の特集番組があった。20歳で新聞に自分の意見を投稿される女子大生は、進歩的で自我の確立した人だったのだろう。投稿には母校の聖心女子大からの推薦、後押しがあったのかも知れない。天皇陛下に出会われた軽井沢の頃の写真は、本当におきれいだ。結婚式のパレードから3人のお子様の母となられた頃の写真も、ほっそりとして女優さんのようだ。

 

民放で皇后陛下のファッションを取り上げていた。ダイアナ妃のファッションが素敵と、雑誌で特集写真があると熱心に読んだものだが、美智子皇太子妃殿下のファッションも素晴らしい。ダイアナ妃より4半世紀ほど以前の写真、そして、1980年代の英国よりずっと貧しい、1960年代はじめの日本におけるお姿だ。

 

実は、年を重ねられてからの皇后陛下の洋装は、異様に肩が張っていたり、ケープが不自然であまり感心しなかった。和装の方は素晴らしい。ベージュや薄紫の訪問着など本当にお似合いで、自分もあんなに上品に着物を着れたらなあ、帯もよくマッチしているなあ、と嬉しく眺めたものだ。

 

今日4月10日でご成婚60周年をお迎えになった。皇室に嫁がれてからの皇后陛下の60年は間違いなく苦労の連続だったのだろう。流産も経験されたが、何といってもご成婚後早い段階で男子の第一子を授かったことは、救いだったに違いない。離婚前後のダイアナ妃のインタビューでは、まず男子が生まれたことでほっとしたと発言している。それは1980年代初めのことで、女王もいる王家においてすらこの安堵だから、1960年代はじめ、ついその10年あまり前は天皇は神様であったこの国で、歴史上初めての民間からの皇太子妃が男児を出産された時の安堵はいかほどのものであろうか。

 

秋篠宮は宝塚の加茂さくら天皇陛下との子だという「都市伝説」は、関西でも耳にしたし、上京してもまことしやかに言う人がいた。2-3年前にも東京でそんなことを言っている人がいたから、この都市伝説は全国区版なのだろう。秋篠宮の目鼻立ちは、皇后陛下にとてもよく似ておられると思う。

 

昨年12月、天皇陛下はご自身の誕生日の際「自らも国民の一人であった皇后」の「皇室と国民の双方への献身」について、声を詰まらせながら労い、感謝されている。日清製粉の社長さんのお嬢さんで、立派な学歴があり、頭もよく、テニスも音楽もお上手であの美貌の女性にとり、嫁ぎ先に困ることはなかったはずだ。が、あの時代のご両親にとっては「未来の天皇」の求婚に、娘にノーと言わせる選択肢はなかったのであろう。

 

皇室とその取り巻き連中の「粉屋の娘」「手袋の長さがどうの」「車の窓を開けて生まれたばかりの未来の天皇を風にさらした」等々、吉良上野介のようにいけずな、家柄だけ皇室に繋がっている人たちのハラスメントも後世に伝わっている。週刊誌の新皇后に対する報道もひどかった。「声を失う」なんて、どれほどの気苦労だったのだろうか。

 

今は宮家とは何の関係もない一般大衆が、小室圭母息子をバッシングしている。ご結婚となれば1億円が支給される、これは私たちの税金だから黙ってはおれない?赤ちゃんも含めた人口1億2千万人で割り算をすると一人頭1円にもならない「税金」だ。とはいえ、(チクり元婚約者の弁を鵜呑みにすれば)借りたお金を踏み倒す母親も、その言い分をそのまま信じる息子もいかがなものか、とは思う。

 

正田美智子様のご両親は、自身の娘にお会いになる機会は、ご成婚後ほとんどないほど自制されていたそうだ。小室圭さんの母親は一切皇室には出入りしないと誓う、1億円は辞退する、そして圭さんは異例の速さで米国弁護士資格を取得して、弁護士となり眞子さまと米国で暮らす。それでこそ「海の王子」だ。そうでもしないと、どんな文書を出そうが、400万円ではなく10倍の4000万円を「返済」しようが、口さがない人たちは収まらない。

 

英国、スペイン、ノルウエーの王室には、有色人種の血が入っている花嫁の父が相当な問題人物であるとか、未婚の母が子連れで王家に嫁ぐとか色々ある。生まれながらの王族メンバー自身が物議をかもしている例も多い。日本の皇室も例外でない。寛仁殿下とか。

 

退位を前にし、ご成婚60年を迎えられた天皇皇后両陛下にとり、まだまだご家庭内の心労は続きそうだが、公務における責務からは解放され、お二人で仲良く余生をともに過ごされることを切に祈っている。         (了)