パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

新潟県立海洋高等学校(2018.08.24作成)

白馬村で主に豪州人スキーヤー相手の宿泊施設を経営し始めて丸5年になる。

 

白馬村は長野県だが、少し北に足を伸ばすと新潟県糸魚川。小学校で、日本列島の南北に通る断層フォッサマグナの北端は糸魚川(いといがわ)と習った。難しい読み方もしっかり覚えている。冬の間、白馬に滞在する外国人スキー客相手に、糸魚川がバスツアーを組んでいる。自分の客の豪州人も、糸魚川に行き、フォッサマグナジオラマを見た、カニをたらふく食べたと楽しそうに話していた。ずっと行きたいと思っていたが、糸魚川の町は数年前に大火に見舞われた。

 

思い切ってでかけてみた。ネットで事前に調べると、カニ横丁なるところがある。夏にカニ?とも思うが、福井の越前ガニが有名なら、同じ日本海側なので、新潟のカニも美味しいのだろう。

 

日本海に面した道の駅能生(のう)にカニ横丁があった。何軒かカニ屋が並び、おばさんたちが、試食させてくれる。塩味の冷たいゆでカニプラスチックのたらいにカニ、はさみ、箸、手拭き用のタオルを入れてもらって、端っこにあるイートインの部屋でかぶりつく。冷房はきいていないし、カニはあまり身は詰まっていない。結局一杯の足だけ食べ、おまけでもらった、足が少しもげた小ぶりのカニは捨ててしまった。持ち帰っても生臭いだけだし、甲羅の味噌は好きではない。

 

口直しに、道の駅の二階にある海鮮丼の店で小さいどんぶりを食べた。食券を買って、セルフサービスである。海鮮はたっぷりのっていたが、魚の切り身は分厚すぎる。そもそもサーモン、マグロ、タコ、いくらや白身魚のうち、どこまでが地魚なのか怪しげだ。それでも、値段、味とも、千葉県の漁協直営の汚らしい食堂で食べたタコめしよりずっとましだ。新潟の食器は、少なくともプラスチックではなく陶器だった。

 

何故、道の駅や漁協の食堂はセルフなのに結構値段も高く、美味しくないのだろう。東京のど真ん中のさかな食堂の方が、ずっと安くて美味しい。人件費もテナント料も高い東京なのにセルフではない。カニに特化した高級ファミレスで、カニ酢、天ぷら、カニコロッケに寿司のカニ三昧を食べても、昼なら3-4000円だ。銀座で、しかも身のしっかり詰まった品を厳選している。

 

道の駅では結局3000円以上ランチに使った。白馬村周辺の高級ホテルなら、しっかりとしたフレンチが食べられる値段だ。プラスチックのたらいのカニ、生魚の切り方が雑な海鮮丼。ことごとく大失敗でがっかり。

 

道の駅の土産物屋をぐるっと回ってみる。おお、「新潟県立海洋高等学校の生徒が開発したお菓子」とある。秋田県立金足高校の話を引きづっていたので、なるほど、海洋高校もあるのか、漁師さんの子女向けの学校か、と納得。いずれにしろ、こんな道の駅では、リピーターは限られるだろう。

 

帰路、白馬村の北隣の小谷(おたり)村の道の駅に寄ってみた。商品の品ぞろえ、陳列方法、食堂もあか抜けていて、わずかながらもより都会に近いはずの白馬村の道の駅の方が田舎臭い。小谷村は外部コンサルタントの助言を取り入れているのだろうか?

 

新潟県立海洋高校のカリキュラムにも、色々な道の駅を見て回り、都会でも食事をし、地元が似非「地魚」を売りに、いかに競争相手のない中でぼったくっているか、生徒に気づかせる機会を取り入れて欲しい。