パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

秋田県立金足農業高校(2018.08.21作成)

AKB48人気を高校野球の魅力になぞらえた文章をどこかで読んだ。プロの技量に比べたら、エースといえども文字通り「ドしろうと」の高校野球に日本国民が熱狂するのは、酷暑の中、泥だらけになり、甲子園の土を持ち帰り、トーナメント形式で一球のミスに泣く理不尽さに共感するからだそうだ。

 

AKBについては、容姿がせいぜい75点くらいの子たち(北川景子菜々緒と比べている。私自身との比較ではない)のダンスや歌に夢中になり、握手会とかにお金を使う人の気が知れなかった。高校野球と同じように、セミプロとも言えぬ、野暮ったい子たちを身近に感じるところがセールスポイントとのこと。なるほどね。

 

今日7月21日午後、秋田県金足農業高校が、大阪の野球の名門私立大阪桐蔭高校と決勝に臨む。田舎と都会、公立高校と私立高校、農業高校と野球の名門高校と、判官びいきを煽るきれいな構図となっている。

 

高校野球に何の関心もなかったが、テレビで秋田の人たちの興奮ぶりを伝えられると、なんとなく金足を応援したくなった。昭和の大阪に生まれ、たまたま進学校の学区にあった公立の小、中学校に徒歩で通ったのだが、当時でも郊外のサラリーマン家庭の同級生が、住民票を公立進学校の学区内に移し、いわゆる「越境入学」して定期券を持って通っていた思い出がある。今は昔、公立が強かった時代だ。が、そんな時代でも男子なら中学から灘、甲陽学院を受験する生徒もいたし、女子ならお嬢さん学校の私立に行った同級生もいる。大阪教育大付属小学校、中学校を目指していた家庭もあったのだろう。自分も親も、そんな付属校があることすら知らなかった。

 

私立は金持ち、高級官僚はエリートというステレオタイプでバッシングし、非エリートを自認する人が多いから金足農業高校が話題になるのだろう。その割には、読売新聞という(かつては)1000万部を誇る巨大な新聞社をバックに、資金力のある常勝軍団である読売ジャイアンツの人気は高い。江川とか桑田とか、巨人でなければ野球人でないと思っている選手がいるのだから、巨人以外は球団とも思っていないファンもいるのだろう。判官びいきと巨人人気。よくわからない構図だが、午後は金足農業を応援しよう。                      (了)