パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

安倍さんから菅さんに代わって、自民党女性議員も変わってきた?(2020.10.12作成)

日本学術会議」をめぐるゴタゴタは収まる気配はない。

 

橋本聖子氏、上川陽子氏は政治家としての信念を表明しているのか?

が、橋本男女共同参画大臣が「選択的夫婦別姓」の検討を表明し、上川法務大臣が「ハンコ不要書類に結婚届・離婚届も含める」と明言した。菅効果か?

 

高市早苗総務大臣稲田朋美防衛大臣等の安倍チルドレン女性閣僚では考えられなかった事態だ。上川大臣は安倍政権時代も同じポストだったが、地道でへまはしないが、自民党の核心に触れるような変革などおよそ期待できない人だった。

 

橋本大臣も五輪担当大臣としては、小池東京都知事の存在感に比べ、全く希薄。森元総理の後ろで目立たないよう、五輪をめぐる争いに巻き込まれないようという姿勢が見え隠れしていた。

 

「寝返り」も良き方向なら是としよう

それが、菅総理になり、杉田水脈議員の「女性はいくらでも嘘をつく」発言に、橋本大臣ははっきりと苦言を呈した。もちろん「あっぱれ!」だ。杉田氏は「LGTBは生産性がない」と書いて新潮45を廃刊に追い込み、安倍総理べったりの元TBSワシントン支局長を性被害で訴えた伊藤詩織さんを貶めるツイートに「いいね」を押すなど物議をかもし続けてきた。

 

性被害者を救済する制度を議論する自民党の会議で、杉田議員は「女性はいくらでも嘘をつく」と発言したと複数の自民党議員から指摘され、一旦は否定、その後ブログで認めた。この人は比例区選出議員だから、解散総選挙になれば自民党の比例名簿「第一位」はもちろん、名簿そのものから削除されるかもしれない。

 

菅総理も政治家としての信念を正直に吐露できるまで臥薪嘗胆だったのかも?

71歳の菅さんの男女観はよくわからないが、小泉政権時代には女性天皇女系天皇容認発言もしていたと報道されている。この年齢でバツイチ女性と結婚したのは、当時としては勇気があることだろう。秋篠宮家に男児が生まれる前は、小泉政権女性天皇女系天皇を容認する勢いだった。安倍総理が絶対に認めたくなかった方針だ。菅官房長官は忠実な番頭として、小泉総理、安倍総理と同じ方針を踏襲していたのだろう。全く対立する方針であっても。

 

今や「俺が大将」。天皇を男子に限ることは極めて困難になっている中、現実主義者の菅総理は、「男子に限る」ことも「悪しき」とは言わないまでも、単なる「前例」に過ぎないと考えているのかも知れない。「伝統」だの「美しき日本」といった情緒的なことに流されていた安倍さんとは違うのかも知れない。

 

女性議員の政界遊泳術

それにしても、女性閣僚の変わり身の早さはどうだ。上川さんには「公文書管理」の会合に出席して頂いたことがある。公文書管理を主要政策のひとつに掲げていた福田康夫元総理も招いていたが、到着した上川さんは「福田総理はどこにおられる」の一点ばかりを気にしていた。当時は落選中で議員ではなく、それほど多忙ではなかったと思うが、自らのメンターである福田元総理が出席するので、挨拶をするために出席を決めたのだろう。その相手に会えないのなら、足を運んだ意味がない。だから役人を責め立てたのだ。

 

女性の地位についての旗幟についても、男性メンター、親分の方針に応じて変遷させる。女性議員の政界遊泳術なのだろう。が、この点は男女に違いはない。天下を取るまでじっと我慢が、菅流政界遊泳術なのだから。

 

日本学術会議のゴタゴタを早々に解決して、変革の実績を積んで欲しい。