パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

京都和久傳でメラニア・トランプを思い出した

4月のある金曜の夕方京都に着いた。翌日何をたべようかと考え、京都駅伊勢丹にある和久傳というちょっと有名な和食の店を予約した。土曜なのに運が良かった。ひとりだからかも。

 

土曜の商業施設でエレベーターで11階まで上がるのは、ある程度余裕をみておかないといけない。満杯のエレベーターに乗り、11時過ぎには和久傳に着いた。「本日は予約で満室です」という掲示が表に出ていた。私のように金曜の夜慌てて予約した人が多かったのだろう。

 

カウンター席の右端に案内された。ありがたい。雨でけぶっているが、一応京都市街が見渡せる席だ。左隣の2席の客はまだ現れず、その向こうにやはり一人の女性が座っていた。

丁寧な料理が少しづつ出される。3品目くらいで左の席の客が来た。男女のカップルだ。齢が離れている。横顔のシミが目立つ白髪頭の70歳前後の男性。女性はその向こうだからよく見えないが、50前後だろうか。ずっと帽子をかぶっている。自然と耳に届く会話から、夫婦ではなのがわかる。ドバイに出張とか、社長とかいう言葉が断片的に聞こえる。私ももう一人のお一人様女性も、同じメニューらしい。席を予約できるメニューの中で1番安いコースの7000円。

対して、不倫っぽいカップルはおまかせコース。三重県桑名のハマグリとか若鮎とか、料理人が説明している。大きな朝掘りのタケノコを、料理人がわざわざこの客に見せに来た。最後のご飯ものをタケノコごはんにしたらしい。食事が終わって店を出る時に、おまかせコースの値段を確認したら20000円だった。帽子をかぶったままの同伴女性はシャンパンを注文していた。店にとれば大変な上客だろう。

 

じいさんに同伴して高いメニューにシャンパンを楽しむ。こういう女性の生き方もあるのだ。トランプさんが大統領だった4年間、メラニア夫人が登場する度、こんな女性の生き方は絶対イヤ、と思ったものだ。メラニアさんはヨーロッパの小国から移民で米国にやってきて、大金持ちのじいさんに見初められた。そうなるには才能も魅力も必要だ。あちこち整形手術しているのだろうけど、土台がよくなければ最先端の医学でもスタイル抜群の美人にはなれない。手足が伸びるわけでもないし、小顔手術で医療ミス問題まで起きている。だからメラニアさんも女性のひとつのカテゴリーにおけるトップ0.01%の人なんだろうけど、ヒヒオヤジの言いなりになんかなりたくない。

 

自分で稼ぐんだ。「思う人とは結ばれず、思わぬ人の言うまま気まま」という歌詞の歌が昔あった。女性の生き方が母の世代と比較にならぬほど多様になった今、自分で稼いで自由に生きる女性と、夫の権力、金力を上手に使ってのし上がる女性との間の分断も顕在化してきた。

 

(2023年4月15日記)

 

京都和久傳でメラニア・トランプを思い出した

4月のある金曜の夕方京都に着いた。翌日何をたべようかと考え、京都駅伊勢丹にある和久傳というちょっと有名な和食の店を予約した。土曜なのに運が良かった。ひとりだからかも。

 

土曜の商業施設でエレベーターで11階まで上がるのは、ある程度余裕をみておかないといけない。満杯のエレベーターに乗り、11時過ぎには和久傳に着いた。「本日は予約で満室です」という掲示が表に出ていた。私のように金曜の夜慌てて予約した人が多かったのだろう。

 

カウンター席の右端に案内された。ありがたい。雨でけぶっているが、一応京都市街が見渡せる席だ。左隣の2席の客はまだ現れず、その向こうにやはり一人の女性が座っていた。

丁寧な料理が少しづつ出される。3品目くらいで左の席の客が来た。男女のカップルだ。齢が離れている。横顔のシミが目立つ白髪頭の70歳前後の男性。女性はその向こうだからよく見えないが、50前後だろうか。ずっと帽子をかぶっている。自然と耳に届く会話から、夫婦ではなのがわかる。ドバイに出張とか、社長とかいう言葉が断片的に聞こえる。私ももう一人のお一人様女性も、同じメニューらしい。席を予約できるメニューの中で1番安いコースの7000円。

対して、不倫っぽいカップルはおまかせコース。三重県桑名のハマグリとか若鮎とか、料理人が説明している。大きな朝掘りのタケノコを、料理人がわざわざこの客に見せに来た。最後のご飯ものをタケノコごはんにしたらしい。食事が終わって店を出る時に、おまかせコースの値段を確認したら20000円だった。帽子をかぶったままの同伴女性はシャンパンを注文していた。店にとれば大変な上客だろう。

 

じいさんに同伴して高いメニューにシャンパンを楽しむ。こういう女性の生き方もあるのだ。トランプさんが大統領だった4年間、メラニア夫人が登場する度、こんな女性の生き方は絶対イヤ、と思ったものだ。メラニアさんはヨーロッパの小国から移民で米国にやってきて、大金持ちのじいさんに見初められた。そうなるには才能も魅力も必要だ。あちこち整形手術しているのだろうけど、土台がよくなければ最先端の医学でもスタイル抜群の美人にはなれない。手足が伸びるわけでもないし、小顔手術で医療ミス問題まで起きている。だからメラニアさんも女性のひとつのカテゴリーにおけるトップ0.01%の人なんだろうけど、ヒヒオヤジの言いなりになんかなりたくない。

 

自分で稼ぐんだ。「思う人とは結ばれず、思わぬ人の言うまま気まま」という歌詞の歌が昔あった。女性の生き方が母の世代と比較にならぬほど多様になった今、自分で稼いで自由に生きる女性と、夫の権力、金力を上手に使ってのし上がる女性との間の分断も顕在化してきた。

 

(2023年4月15日記)

 

スイス銀行の秘密主義はオワコン?宝の山を生かしきれない日本。

補助金頼みのイタリアのアグリツーリズモvs政府のクレディスイス救済策

今日3月18日の「人生の楽園」も、小さな食堂を週4日営業する女性とその夫の画家の話だった。食堂の食材は自前か知り合いからのおすそ分け。食堂のお客さんもお決まりのご近所さんだった。でも、誰にも迷惑をかけず、肩を寄せ合って生きている。役人が退職後、何の役に立っているのかよくわからない組織に再就職し、公金で給与を支給され続けるよりずっと清々しい。

https://blog.hatena.ne.jp/IeuruOnna/ieuruonna.hatenablog.com/edit?entry=4207112889971404772

 

イタリアの農家民宿も家族経営。イタリア政府は過疎地の人口流出を阻止するため補助金を出してアグリツーリズモを奨励している。先進国はいずこも同じ問題を抱えている。

 

イタリアは北部でスイスと国境を接する。先週の「小さな村の物語」に登場したアオスタは土地勘がある。3000メートル級の山が連なる中、北のスイス側からトンネルを超えて最初に現れるそれなりの人口の渓谷の街だ。周辺には文字通り小さな村がある。山の標高が高いので、日当たりが悪く斜面は暗い。渓谷の岩を削った石を瓦にしている。この岩の色も黒っぽく、イタリアといえば陽光輝く黄色やオレンジ色の街、というステレオタイプの印象は当てはまらない。そんな村の家族経営のホテルの家庭料理が非常に美味しかったことを懐かしく思い出す。

 

 

 

過疎地に富裕層を集めるスイス、高級ブランドで富裕層を魅了するイタリア

アオスタ地方同様に山国のスイスは知恵を絞り、山奥のサンモリッツダボスを高級リゾートにして、世界中の富裕層を集める一方、多額の補助金で農業保護をして酪農をようやく維持している。税金逃れやマネロンで世界中から怪しげなお金を集める金融業で豊かな国になっているが、酪農を維持するには補助金と旧東欧諸国からの移民労働が頼りだ。イタリアの金持ちも隣国スイスに課税回避をしている。日本もイタリアも金融で世界のお金を集める才覚はなさそうだが、それでもイタリアの方がマセラッティやフェラーリという高級車、ブルガリやゼーニャという高級服飾、宝石ブランドで世界中の金持ちのお金を集めている。プーチンのダウンコートはグッチだそうだ。

 

こざかしくうまくやっているイメージのスイスだが

先週、クレディスイスの株価が30%以上も下がったとか。米国連邦準備理事会による度重なる利上げで、米国のシリコンバレー銀行は経営破綻に陥ったが、クレディスイスは性質の違う問題を抱えている、と専門家は指摘する。

www3.nhk.or.jp

 

経営の不透明性、財務内容の非開示で、クレディスイスはここ数年、何度か経営危機に陥っている。私が在スイス大使館時代に取り組んだ、日本の闇金融の帝王が犯罪収益をスイスに移転する(マネロン)のに手を貸したのもクレディスイスだった。

闇バイトを集めて強盗させ、資産家から大金を奪う日本の犯罪者グループは、フィリピンを拠点に荒っぽいカネ稼ぎをしていたようだが、クレディスイスのやり口も、直接的な殺人はないものの間接的には人を死に追いやりかねない、表面は上品だが犯罪のニオイがプンプンするものだった。同行のチューリッヒ支店に秘匿された日本の闇金業者の資金を、チューリッヒ州政府は日本に返さないと強硬に主張した。スイス連邦政府に日スイス関係を重んじる立場から、州政府を説得するよう促した。

経済連携協定を締結して、日本との経済関係を更に拡大したいスイス連邦政府に対し、苦境に落ちている闇金被害者のお金を、濡れ手にアワでチューリッヒ州が没収したままでいいのですか?」と私が言った時、別に本省のお伺いを立ててはいない。が、こういえば連邦政府側は、州政府を説得してくれるだろうと踏んだ。当時の本省課長は、「闇金でお金を借りて、パチンコで全額スってしまうような人たちですよ」と闇金被害者を助ける気はさらさらなかった。保身に走る外交官なら、本省の言う通り行動する。すなわち不作為に徹する。そんな役人人生、面白くない。

ことほどさように、クレディスイスといえば、怪しげなお金。スイスのもう一つの金融業の雄で、今回クレディスイス救済に乗り出すか、と報道されているUBSは、クレディスイスほどアコギな商売が表に出ていないが、本質は同じ。自身のUBSとの苦い経験はまた、別の機会の紹介しよう。

今回のクレディスイス危機を、スイスが何世紀にもわたり続けてきたマネロンビジネスモデルの終焉、ととらえる向きもある。アルプスを南に超えると、昔チーズを復活させようというイタリア人家族がいる。山国で、農業生産性はどうしても低い。もちろんスイス側のアルプスの民も、懸命に酪農に取り組み、子沢山の時代には、男子はヨーロッパの他の国の戦争に傭兵として従軍した。苦労してきたのだ。

そんな中、秘密主義の銀行によその国の富裕層の資産を賢く集めるビジネスモデルを確立した。楽してお金を儲ける方法に誰かが悪知恵を絞ったのだ。秘密が守られる銀行にお金を預けたい人は世界中にいる。プーチンだって、クーデターに備え、海外に隠し資産を持っているはず。

山奥の農家民宿でほそぼそと生計を立てる人よりは、スイスの銀行家の方が頭は良いのかも知れない。が、犯罪行為に手を染め、犠牲者を踏みにじっている。チーズや昔とうふの復活にいそしむ人々が報われる社会であって欲しい。地道でアナログの仕事でも、品評会で金賞を獲得すれば、そのとうふもチーズもブランド品になる。世界中の富裕層が所望する、高価なとうふ、チーズに化けるのだ。

 

 日本のクイズ王になるより世界のブランド王に

大京大出身者の中にクイズ王やテレビのコメンテーターで活躍する人がいてもいい。職業選択の自由だ。が、その頭脳を日本の富を増やす分野に使う人ももっと現れて欲しい。

細々と農作業をし、民宿を営む人々が小さな幸せを追求するのは日伊とも同じだが、日本も是非和牛、りんご、あまおう、清酒等の高級品で世界の富裕層を魅了し、マセラッティ並みに外貨を稼いで欲しい。

先日、京都開花堂の茶筒を購入したが、こうした生活に密着した工芸品も高級ブランド品としてどんどん世界の富裕層に認知してもらいたい。

 

開花堂茶筒200g お茶は毎日飲む。バッグより手に取る頻度は高い。



日本の実直な農家の人々が、美味しい米や果物を作ってくれる。東大出身者が、日本のテレビ番組でクイズ王になっても、日本全体の富は増えない。種子や和牛の子牛が海外に流出してから外国を責めるのではなく、日本人の側で流出に手を貸す人々をしっかり抑止し、流出行為が大きなペナルティを受ける制度を設計すべきだ。

が、役人の立場では難しいのかも知れない。私が担当したのはスイスという小国で、スイスのために政治生命をかける日本の政治家はいなかった(と思う)。だから、役人としての行動の自由度は高かった。これが、日米関係や日韓関係、日中関係なら、内野外野に応援団、反対派のいずれも多数いて、役人の仕事は政治家他の関係者のご機嫌を損ねないよう細心の注意を払うことに終始しかねない。それでも、政治生命をかける政治家の説得ならそれなりにやりがいがあろう。やっかいなのは、世襲政治家で、自身が成し遂げたいことが分かっていない人物だ。世襲政治家にとり、日本全体の富を増やすことより、家業「政治家」を守ることの方が大事そうに見える。 

3月18日記

新年あいさつ

明けましておめでとうございます。

I am still alive.

 

昨年の一大ニュースはロシアのウクライナ侵攻と安倍さん暗殺でしょうか。

ゼレンスキー大統領を批判する人もいるけど、ルカシェンコやメドベージェフと比べてみると評価は自明。

統一教会紀藤正樹弁護士の名を久しぶりに耳にして、あ、統一教会って「コンプレックス産業」なんだ。高齢者相手の昼間のBS放送のCMも出費金額はうんと少ないけど同類。シワ改善、育毛、若返り。。。静かに老いを受け入れたいものです。

 

今年はウサギ年。サメを騙したり、亀をマウンティングしたり、結構邪悪な小動物に描かれています。虎の勇壮な姿が名残惜しい。ネコ科最大の猛獣、群れで狩りをしない孤高のハンターは絶滅危惧種。コロナが風邪に毛の生えたような病気とみなされるようになっても、価値観のソーシャルディスタンシングを保って虎のように生きたいと思っています。

 

益々偏屈になってきましたが、今年もよろしくお願いします。

 

エリザベス女王在位70年、英国はそんな立派な国か?

プラチナジュビリーの儀式は赤い服を着た衛兵が行進して華やかだ。

王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃もいるし、チャールズ皇太子の隣にはカミラがいて、話題には事欠かない。王国と言えば英国、女王といえばエリザベス。

いつも思うけど、英国は過大評価されており、日本は過少評価されている。皇室のあり方、女性の地位、ダイバーシティ、難民等々色々な問題を抱える日本だけど、相対的には悪い国ではない。誤送金、給付金詐欺、衆議院議長のセクハラ疑惑があっても、日本人に生まれて良かった、と思う。

 

多くの日本人が憧れる英国にもロシア・ウクライナ問題に似た構図がある。

6月1日朝の「日経モーニング+FT」(BSテレ東)で紹介されていたFT(ファイナンシャル・タイムズ紙)記者のコメントは、北アイルランドと英国の相変わらず微妙な関係だ。

英国の正式名称「グレートブリティン北アイルランド連合王国」の通り、北アイルランドは英国の一部である。アイルランドは別のEU加盟国である。テレ東が伝えるのは、英国のEU離脱後、英国からアイルランドへの通関、検査は北アイルランドで行ない、北アイルランドEUの製品規格を維持するという合意「北アイルランド議定書」を、北アイルランドと英国との一体性を保つために英国が修正する、という点である。

 

テロとの戦い」というと9.11以降、イスラム過激組織との戦いのイメージが定着したが、私が外交官人生を始めた頃は、英語圏のニュースでは対英武装組織IRAアイルランド共和国軍)、フランス語圏のニュースではコルシカ民族解放戦線、スペイン語圏ではバスク地方独立運動が大きなニュースであった。

 

いずれもヨーロッパというコップの中の嵐、似た者同士、「兄弟」同士の争いに見えるが、当事者にしてみれば宗教(カトリックプロテスタント、更に英国国教会)や言語、文化等は大いに異なり、「兄弟」などとひとくくりにされたくはないのだろう。

 

今のロシアによるウクライナ侵攻ニュースを聞いていると、英国、フランス、スペイン等の西ヨーロッパ諸国でも見られる、隣国間、あるいは同じ国の中の近くて遠い関係が浮き彫りにされる。ソ連邦時代はウクライナ地方であった。が、言語は微妙に異なり同じスラブ系言語ながらキエフ→キーフ、オデッサ→オデーサと発音は異なり、日本は読み方表記を法律改正した。カタカナで日本人が読めばどのみち原語からは離れるが、これは日本のウクライナ支援の象徴的な姿勢なのであろう。

 

スウエーデン(外務省の表記はスエーデンではないらしい)やフィンランドNATO加盟のニュースの関連で、スウエーデンの中にロシアの飛び地があることを知った。ウクライナの東部地方にはロシア系住民が住み、親ロシア派もいる。ロシアの延長、とみなしたいのだろう。

 

地続きのヨーロッパは何世紀にもわたり宗教、言語、民族問題を抱えてきたのだ。

 

上記のFT記者のコメントは、英国本土に比べ、北アイルランドは相変わらず所得水準が低いことを指摘していた。多くのアイルランド人が移民として米国に渡った背景には、英国のアイルランド差別の中、悲惨な飢饉に見舞われたことがある。

 

1980-90年代、「日本と韓国は仲が悪いよね、日本は在日韓国人朝鮮人を差別しているんだろう」と英国の外交官に知ったかぶりで言われた時、「でもあなたの国で差別されているアイルランド系の人たちとの関係とは違ってテロ殺傷事件は起きてませんよ」と言い返そうとして、口を閉じた。

 

組織的なテロではなかったが、差別問題を告発した「金嬉老(きんきろう)事件」のような立てこもり事件はあった。金嬉老事件 - Wikipedia

 

隣国であるがゆえに、宗教、言語、文化の違い、何よりも貧富の差が日常的にはっきり感じられる。今の米国は日本に比べて経済が好調だが、多くの日本人にとり米国は遠い国であり、すぐそばに米国人がいる生活ではない。戦後から今日に至る沖縄は別として、敗戦国に占領軍として米国人が闊歩していた時代とは異なり、うらやましがる機会が少ない。が、在日韓国人朝鮮人は身近にいるし、都会のコンビニでは中国人がレジを打っている。

 

スイスの知恵

マネロン大国なのに、アルプスの少女ハイジの清貧なイメージ、永世中立国で平和を愛する国というイメージ戦略に成功した国で、私はあまり好きになれなかったが学ぶ点はある。

国は連邦制でドイツ語、フランス語、イタリア語、極少数だがロマンシュ語の4言語をそれぞれ話す人がいる。最初の任国ベルギーでは、豊かなオランダ語住民に対し、フランス語系の人が反発して政権が倒れることがしばしばであったことと対照的であった。スイスの知恵は、経済的にも豊かで人口規模が最大のドイツ語系が控え目にしているからである。強いから低姿勢、でバランスが保たれる。

 

ウクライナ内でロシア系住民が虐げられている、という言い分もあるのだろう。多数派は「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」を心がけるのが多言語、他民族国家の知恵なのだ。

 

スイスと比べて、英国の北アイルランドに対する姿勢はどうなのだろう。色々な融和のための施策を実行してきたのかも知れない。米国も黒人に対し、色々配慮してきた、と言うのかも知れない。日本が懸命に従軍慰安婦や強制連行問題に取り組んできた、と言いたくなるのと同様に。

 

日本も様々な制約、国内の反発に配慮しながら、韓国との友好に努めてきた。前ムンジェイン政権以来、戦後最悪とされる日韓関係について、少なくとも英国人にあれこれ言われる筋合いはない。世界の多くの国が、隣国や民族的言語的に近い隣人との緊張感のある微妙な関係に腐心している。完全に成功している国は少ない。北アイルランドの人は、プラチナジュビリーをどのような思いで迎えているのだろう。

                                                                                                                  (以上)

小室眞子さん「言(ゆ)うたった!」会見―こじらせ女子からは晴れ着の方から逃げていく

10月26日午後2時、婚姻届け提出後の小室夫妻の記者会見。12分ほど思いの丈を滔々と述べていた。小室圭氏の発言は付けたし。

 

要旨

「誤った情報が事実であるかのように」、「謂れのない物語が広まる」ことが嫌だった

 

金銭トラブルは紛れもない事実

言いたいことも言えなかった数年だが、金銭トラブルがあるのは事実で、会見で小室さん自身が「解決金」に言及している。誤った情報では全くない。

 

お姫様らしくない敵対的対応が同情や祝意を減退させた

マスコミに好き勝手を書かれる立場の人にとり、限られた機会に思いの丈を吐露したいのは、痛いほどわかる。が、金銭問題が報じられ、結婚が延期されて以来最初で最後の機会に、自分たちにとって必ずしも好意的でないマスコミ、多数の無名の人々にこれだけ挑戦的に出てしまっては、同情も祝意も引いていく。

 

借金であろうが、贈与であろうが、小室家に元婚約者の金銭が流れ、どんぶりの財布の中で、小室氏の学資も使途の一部になったことは否定できない。贈与だとしても、贈与税の支払いが随分遅れ、金銭を受けた年度ではなく、報道合戦が始まって以降になったことは小室氏が認めている。

 

眞子さんの問題解決能力の低さを露呈

元婚約者に対しては、小室母息子、眞子さんそれぞれの思いはあるのだろう。「返してもらわなくてもいい」と言ったのに、今更何を!?が、元婚約者との問題対応の方向性を主導したのが眞子さんなら、自身の問題解決能力を過大評価してしまったようだ。

 

元婚約者代理人の週刊誌記者に問題を解決するインセンティブはない

原則やメンツにこだわるあまり、元婚約者の複雑な思いを想像できなかった。この元婚約者もコジらせ男性っぽいが、その背後の週刊誌記者は、問題がこじれればこじれるほど自分の「元婚約者の代理人」としての存在意義が高まり、代理人として動く期間も長くなる上に、記事の材料も集まる。早期解決なんかしたくもない。

 

百戦錬磨の週刊誌記者と同じ土俵に上がって、稚拙な戦いを挑んだのはお姫様

もっと丸く収める方法はあったのかも知れない。私が好きなサスペンス、刑事ものでは、必ず恐喝の額をつり上げる輩が出てくる。解決金を払ったところで、その内実を暴露すると脅して更に解決金の額を引き上げる。B級ドラマではここで殺人事件となるのだが、現実、まして皇族ではそうはならない。

 

不特定多数相手にケンカを売ってしまった

眞子さんは、小室家側の言い分に肩入れし過ぎ、かたくなに意地を張り、原則論に固執し、そこを代理人週刊誌記者に弄ばれ、皇室の危機を招いた。日本国憲法の第一章は「天皇」。その地位は「国民の総意」に基づく。結婚=皇族離脱記者会見で、不特定多数相手にケンカを売ったお姫様の罪は深い。

 

美智子様は謂れなき誹謗中傷の中で敬愛される「国母」に成長されたのに

上皇后もひどい誹謗中傷に晒され、声を失われた時期があった。小室家の金銭問題のような明らかな事実もない中で、それこそ憶測記事だったと思う。それでも、当時の皇后は「どんな批判も、自分を顧みるよすがとして」という、謙虚だが、毅然とした言葉を述べられた。

 

天皇の「人間宣言」がそれほど遠くない時期に皇室に嫁がれた美智子様は、覚悟をもって塗炭の苦しみの中で「国母」に成長されたのだ。上皇は退位の際、涙ぐみながら美智子様の努力と献身をねぎらわれた。私はもらい泣きした国民のひとりだ。

 

「品格」の違いを確信するから敬愛する。同程度の人間に「陛下」「殿下」「様」なんて敬称をつける気にはなれない

親ガチャでたまたま皇族に生まれた眞子さんと、皇室に嫁いだ祖母美智子様では時代も年齢も経験も違い、そして「格」は決定的に違ってしまった。「言いたいことは言わしてもらいまっせ、汝臣民め」会見は大失敗。これから成長することもなく、甘言で近づいてくる輩に取り巻かれる恐れ大。

 

公務員の雇われ宮内庁長官には手に負えない

これだけ将来の夫の留学、就活、その母親の金銭トラブルにも主導権を発揮してこじらせてきたお姫様は、宮内庁の雇われ長官にはアンタッチャブル。保身第一、任期も数年の役人が手出しできる相手ではなかった。

 

十二単衣、ウエイディングドレスの方から、このこじらせ女子から逃げて行った

こじらせ女子が払った代償は、花嫁が最も輝く結婚式もなく、持参金もなく、結婚の日のケンカ会見。

 

悠仁さんがタイの現国王のようにならない保証はない

眞子さんがケンカっ早い人であることはわかった。が、今や一民間人に過ぎない。その弟で、皇位継承順位第二位、おそらく次ぎの天皇になる15歳の悠仁さんが、同じように聞く耳を持たないわがまま人間だったら、タイの国王みたいになる恐れがある。困ったちゃん国王は、ほとんどドイツで生活しているらしいが、悠仁さんも姉同様「海外に拠点を」と目論むかもしれない。天皇制の危機は内部から生じる。国民は、ほころびに反応しているだけなのだ。

 

母にも妻にも頭が上がりそうにない小室圭氏

前回エントリーに書いた通り、眞子さんは強い女性だ。一貫してこの結婚を主導してきたことを自ら告白した。もともと「格差婚」だったが、小室さん側は更に母親の各種疑惑もあり、一生眞子さんに頭は上がらない。米国法弁護士は元々自身の志望だったのだろうが、留学を前倒ししてくれと頼んだのは眞子さん。

 

幼少時からバイオリンやピアノを習わせ、親が英語のネイティブでもないのに、中学からインターナショナルスクール。小室母はお金を無心する能力同様、教育ママとしても大変優秀だが、多分小室氏は、親の言うこと、結婚したい相手の願うことに懸命に取り組むタイプなのだろう。

 

何と弁明しようと、これまでは「プリンセスの婚約者」、これからは「元プリンセスの夫」の立場を1000%利用するタイプにみえるが、恐妻家になるのは明々白々。ま、自分で選んだ道。

 

                        (今回はここまで)

 

眞子さん、ついに結婚! たまたま皇族に生まれること(accident of birth)は究極の親ガチャ

すったもんだの末、来週10月26日に入籍、皇籍離脱、記者会見とのこと。

 

記者会見では、お決まりの宮内庁記者クラブ所属の記者だけでなく、週刊誌代表、外国特派員代表も出席すると言う。

週刊誌はともかく、外国メディアにとっての関心事は小室母の金銭トラブルや遺族年金、労災手当の不正受給ではなく、皇室制度そのもの。特に女性皇族の置かれた理不尽な地位のことだろう。雅子皇后の適応障害も、日本の制度を批判する格好のテーマだった。

 

とにかく女性皇族に生まれたら皇室の不自由さから逃れるには、怪しげな相手とでも結婚するしか手段がないのだ。「出戻り」は許されない(というか「想定外」)。女性は天皇には絶対になれない。

 

運命をそのまま受け入れられる女性ではなく、自我の確立した女性にとり、皇族に生まれるのは酷な話だ。税金で楽しやがって、と眞子さん批判をする人がいるが、皇族に生まれるのは究極の「親ガチャ」以外何物でもない。

 

皇室に嫁ぐ女性も、紀子さんのように次男坊の妃殿下の役割をつつがなくこなせる女性なら水を得た魚のようにふるまえるのだろうが、上皇后、皇后は長男の嫁として辛酸をなめてきた。いずれも、頭脳も容姿もその時代の超一流日本女性だったのに。

 

眞子さんと小室さんとの愛情物語の実態は知る由もない。こちらの勝手な希望的観測は、眞子さんは決してうぶな深窓の令嬢ではなく、上昇志向の強い小室さんの上手を行く逞しい人であって欲しいということ。文学作品を多数読み、想像力を駆使すれば、多彩な他の女性の人生を知ることはできる。彼を踏み台にして、かごの中の鳥状態から飛び出すことをもくろんでいるしたたかな女性であって欲しい。

 

NYに行った民間人小室眞子は、すぐに夫を袖にして、もっと魅力的な男性をつかまえる。離婚して皇室(実家)には戻れなくても、次の配偶者とともに生きればいい。次の次の、いやその次の男性の可能性もある。事実婚でもいいのだ。多くの男性を踏み台にして生き抜くのは小室さんの母が実践してきたこと。最初の義母のひそみに倣えばいい。

 

次の男性が日本人である保証はない。ネトウヨが毛嫌いする国の人かも知れない。金銭トラブルがつきまとう小室さんだが、腐っても「日本国籍」の「男性」だ。

ネトウヨが望まない人種、国籍、さらには異性ではなくLGTBの可能性だってあるのだ。

愛子さん、佳子さん、悠仁さんらの将来の相手がそうでない保証はない。

 

個人的には夫の死後、かなり齢の離れた男性から金銭的支援を受け、背伸びをした生活をしてきた小室母は好きにはなれない。「とっさに」会話を録音する20歳の小室氏も嫌だ。

 

が、accident of birth(たまたまそう生まれただけ)で、人権も自由も制限される生活を強いられてきた眞子さんには、「人形の家」から飛び出し、高く高く羽ばたいて欲しい。

                             (以上)