パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

息子・娘を就職させたかったら、辞めるしかない(2012.09.19作成)

高年齢者雇用安定化法が8月29日改正された。厚生年金の受給開始年齢が来年4月から引き上げられるので、定年後受給開始までの無収入状態を避けるため、雇用主は65歳まで正職員の雇用を保証しなければならないとか。

 

正職員で30年以上も60歳になるまで働いてきて、定年後の生活設計ができていないとは残念。日本人のことだから、しっかり貯金していて大丈夫だと思う。エコノミストの原田泰さんは、振り込み詐欺被害の報道について、普通の方がこれほどの大金をすぐに用意できるほどお持ちであることは、お金持ちの高齢の日本人がごく普通におられることをはしなくも証明している、と逆説的に書いておられる。

 

休みもとらず働き続けるのは美徳である。これも小倉千加子さんが、全国津々浦々の小学校で荷物を背負い、歩きながら本を読む勤勉な二宮金次郎をみながら育った「高年齢者」に、お金をどんどん使いましょうと言っても難しいと書いておられた。

 

とは言うものの、高年齢者が65歳(人によってはそれ以降も)まで働き続ける結果、自分の息子や娘を含む若者が就職で苦労するなら、美徳にも限度がある

 

高田純次さんの宝くじのCMに、「当たりたかったら買うしかない」というコピーがあるが、自分の子どもを就職させたかったら、お父さん、まずあなたが辞めるしかない、と言うと嫌われるのだろうなあ。                 (了)