パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

LIBORスキャンダルとオリンパス(2012.07.10作成)

ロンドン銀行間取引金利LIBORは、世銀のような国際金融機関の貸出金利の決定の際にも参考とされているはずだ。少なくとも、アフリカ開発銀行の貸出金利は、LIBORに何%上乗せするかどうか決めていた。同じ英国中心なので、金融の世界のグリニッジ標準時みたいなものと思っていた。ずいぶん権威のある標準金利だと思っていたら、文字通りロンドンにある銀行の金利ヒアリングして決めていたとかで、その申告が実態と合っていない、というのは別に今回が初めてではないのだろう。

 

英国の新聞もこの問題をスキャンダルとして大きく取り上げているが、オリンパス粉飾決算については、英国の新聞は粉飾を告発したのが解任された英国人社長だったので、ごまかしを常とする日本人幹部に敢然と立ち向かう正義の味方は我らが同胞という構図の報道をしていた。ごまかしたり、責任逃れしたりする人は洋の東西を問わずどこにでもいる。英米系の組織で、幹部の不正を告発して追放された日本人だって、報道されていないだけできっといると思う。

 

金融も含めた経済の世界は、時間を決める天文学とは異なり、人間心理や気候、天災等に影響されるので、あまりロジカルなものではないことを益々確信するに至った次第である。                    (了)