パブリック・ディプロマシー日本外交に望むこと

34年間の外交官生活を振り返って

サッカー香川選手の活躍に思う(2012.06.07作成)

香川選手がドイツの有力チームから英国の有力チームに移籍する。ドイツのサッカーチームで活躍する日本人選手のニュースに接する度、ある会合でドイツ人女性外交官がはなった言葉を思い出す。 「アジア人はサッカーには向いていない。自分ひとりで(個人で)…

The Iron Ladyーマーガレット・サッチャー、鉄の女の涙(2012.03.26作成)

3月18日夕刻、ワシントンDC入りした。ホテル近くの映画館の日曜日の最終回、自分を入れて4人の観客だったが、ジーンとさせる映画だった。 80年代、私は日本と欧州の経済問題を担当する部署にいた。サッチャー首相は、たった数名の側近を連れて訪日し…

公務員住宅(2012.01.22作成)

昨年末から朝霞の公務員住宅をはじめ、いくつかの公務員住宅がワイドショーで取り上げられていた。私が公務員住宅のお世話になったのは、入省4年目、フランスでの語学研修を終えて帰国した時、数か月だけ地下鉄丸ノ内線方南町駅の独身寮のお世話になった。…

映画「アンダルシア」(2011.07.31作成)

織田裕二演じる外交官黒田康作の話。前作「アマルフィ」同様、邦人保護をテーマにした、外国における警察映画みたいになっています。日本の主権が及ばない海外で、現地の官憲相手の派手な立ちまわり(公権力の行使)は現実的ではありません。 ある大使館勤務…

小島英俊著「外貨を稼いだ男たち」(2011.06.25作成)

「男たち」となっているのは、「外貨を稼いだ人々」より格好が良いと思った編集者の意向と想像します。司馬遼太郎さんの言うところの、輸出できるものは絹織物くらいしかなかった「まことに小さな国」が、開国以来、懸命に外貨を獲得しようとした歩みが感動…

Still time to catch the blossom (2011.04.18作成)

東日本大震災約1か月後のブログです。 英国ファイナンシャル・タイムズという新聞の週末版にはLife and Artsという別添特集があります。その最後のページにTyler Brûlé (タイラー・ブリュレ)という世界中を飛び回っている男性が毎週コラムを書いています。…

カルタゴの女摂政―チュニジアの政変について(2011.01.25作成)

記念すべき人生最初のブログ。丁度10年前のものです。 レバノン出身のカルロス・ゴーン元日産CEOとその二番目の妻の数々の蓄財疑惑と照らし合わせて読んで頂くとありがたいです。 ブログ 2009年2月から2010年8月までチュニジアを観察しておりまし…

トランプ大統領来日ー儀礼外交(2019.05.27作成)

5月25日に米国のトランプ大統領夫妻が令和初の国賓として来日した。数日前からテレビで映像が流れている。千葉でのゴルフ、両国国技館での相撲の千秋楽観戦、六本木での炉端焼きが続き、今日はいよいよ日米首脳会談と宮中での行事だ。 当然首脳会談がメイ…

霞が関は辛いー元農林水産事務次官による殺人(2019.06.04作成)

6月1日から3日にかけ上海にいた。中国はネット環境が悪いので、わざわざ高いお金を払って海外で使えるwifiを持って行く必要がないとのことだった。羽田を早朝に発ってあちこち回り夕食後にホテルに着き、12時間のネット空白の後やっとヤフーニュースに…

岸恵子―「孤独という道づれ」(2019.06.05作成)

今朝6月5日の羽鳥慎一モーニングショーでは、岸恵子さんの最新の本「孤独という道づれ」の紹介とともに、岸さんのこれまでの生き方についてインタビューをしていた。 もう86歳だそうだ。先日池袋で母子二人を交通事故死させた元通産官僚の老人は87歳。…

現代貨幣理論と老後に向けて2000万円の貯金(2019.06.09作成)

6月6日の大学での講義で、「現代貨幣(金融)理論」Modern Monetary Theory MMT)を学生に紹介した。 ウイキペディアの表現は次の通り。 「現代経済の貨幣が借用書により成立していることを捉え、政府は税収に制約される必要はなく、任意の自国通貨建て国債…

麻生大臣の悪相ー朝ドラと大谷翔平でリフレッシュしよう(2019.06.14作成)

「老後に備え年金以外に2000万円必要」が独り歩きして、麻生太郎副総理兼財政金融担当大臣はふてくされている。この人がふてくされるのは今に始まったことではない。昨年の財務事務次官のセクハラ事件の時も、「セクハラという犯罪はない」などとうそぶ…

日本映画「新聞記者」(2019.07.19作成)

ネットで話題になっていたので、観に行った。それほど面白くなかった。途中で飽きてきたし、外務省から内閣情報調査室に出向という経歴の松坂桃李もあまり現実味がなかった。 上映館の渋谷円山町にあるユーロスペースという映画館は初めて。円山町というと東…

参院選の日、「あぶれオス」問題を考える(2019.07.21作成)

7月21日の参院選の日。午後8時の投票締め切り前のNHK番組は「ダーウインが来た」。相島(あいのしま)という猫の島が舞台だ。動物が生きる過酷な世界を描くこの番組は実に面白い。 ライオン、ピューマ、ヒョウ、トラそして猫とネコ科の動物の習性や掟…

吉本騒動の中、映画「花火」を観た(2019.07.25作成)

闇営業問題に端を発し、宮迫博之、田村亮の捨て身の記者会見、岡本吉本興業社長の5時間余の記者会見と平行して、松本人志が動き、加藤(浩次)の乱があり、引退した島田紳助までインタビューに答え、百家争鳴が続く。 直木賞を受賞した吉本芸人の又吉直樹の…

悪化する日韓関係と不買運動(2019.08.06作成)

韓国側の徴用工判決や日本政府の韓国を輸出管理のホワイト国から1ランク下げる決定で、日韓関係は悪化する一方。 前期の講義で学生に日本のモノ・サービスを買ってくれる上位5か国を調べるようにと宿題を出した。米国、中国、韓国、台湾(国と呼ぶと中国が…

小泉進次郎と滝川クリステルー首相候補と呼ばれる前にすることがある(2019.08.10 作成)

8月7日の官邸での囲み取材で発表された、将来の首相候補に上がる小泉進次郎氏とアナウンサーの滝川クリステルさんの結婚と妊娠。日本中が大騒ぎだ。 美男美女だと思う。女性は41歳で進次郎氏より3歳年上。出産の時は42歳だが、私より2歳若い高齢出産…

日航機墜落で亡くなった坂本九さん‐―子沢山、少子高齢化、空き家(2019.08.12作成)

今日2019年8月12日で、520人もの方が犠牲となった日航ジャンボ機御巣鷹山墜落から34年となる。あの日も非常に暑かったのを覚えている。8月6日の広島原爆投下、9日の長崎原爆投下、15日の終戦と歴史を振り返る日が続く。 航空機事故だ。揺れ…

元外交官テレビコメンテーターは良好な外交関係は望んでいない?(2019.08.31作成)

日韓関係は悪化するばかり。外交がうまくいかないと、元外交官の活躍の場が増える。 ゴマ塩頭で長髪の武藤元駐韓大使は連日テレビで引っ張りだこ。講演依頼も多いのだろう。韓国のムンジェイン政権を「サヨク的」と呼び、全般に韓国に厳しい。まあ、大使とし…

女性嫌悪と外国人嫌いー「ゴゴスマ」コメンテーターの発言は酷い(2019.09.01作成)

TBS系の平日午後のワイドショー「ゴゴスマ~GO GO!Smile!」に出演していた中部大学特任教授の武田邦彦という人の発言は無茶苦茶。 数日前に明らかになった日本人女性旅行客がソウルで韓国人男性に暴言を浴びせられた上、路上に倒され髪を引きずられた事件に…

内館牧子「終わった人」―英国は成仏し損ねた国家(2019.11.16作成)

数年前、出版されて間もなくスタバ併設のTUSTAYAでざっと読んだことがある本。 時々、カフェと本屋が一緒になったところに足を運び、新刊書数冊を2~3時間かけてざっと読む。ほとんどの本はこういう読み方で十分だ。じっくり読みたい時はKindleやハードカバ…

伊藤詩織さん事件(2019.12.25作成)

12月18日、東京地裁が原告の伊藤詩織さんの損害賠償請求を認め、被告の山口元TBS記者に330万円を支払うよう命じた。 簡易裁判を3回経験して、裁判官、裁判所が常に正しいとは思わないが、私はこの訴訟では伊藤さんを応援していたので、ほっとした…

「事務次官」って何だろう?(2019.12.26作成)

日本のエリート中のエリートと思われている人たちを身近に見てきた。上下関係を背景に口説かれたことも少なからずある。当時はセクハラという言葉すらなかった。 結論は、あの人たち、行政官としては超優秀なんだろうけど、人間としても男性としても大したこ…

カルロス・ゴーン逃亡(2020.01.05作成)

令和元年はゴーン氏の極秘の日本脱出成功の大ニュースで終わった。安倍政権はこの件について沈黙を保っている。 マスコミが報じてきた、日産自動車の反ゴーン派や検察のリーク内容の正否は知る由もない。予定通り裁判が行われたとしても、真実がどこまで明ら…

コロナウイルス1:知事、コメンテーターの採点表(2020.04.10作成)

4月7日、日本国政府としての緊急事態宣言が出された。 2月下旬に北海道知事が非常事態を宣言し、外出自粛を訴えていたので、今更の感がある。安倍総理も2月下旬に唐突に学校休校を求め、大騒ぎとなった。五輪開催延期決定後の小池都知事の方針転換は鮮や…

コロナウイルス3――シェリング・エコノミーはコロナとともに変容した(2020.06.09作成)

外務省退官後始めたインバウンド観光客相手の宿泊業は壊滅的である。3月半ば、白馬村でこの冬最後のスキー客のチェックアウト後、例年なら京都で花見客を迎えるタイミングであった。これがすべてキャンセル。持続化給付金支給条件を満たしていそうだ。 数年…

不倫報道とチクられ男(2020.06.26作成)

2020年の芸能ニュースは女優の杏の夫、東出昌大の不倫報道から始まった。コロナによる外出自粛要請が徐々に解除される中、飛び込んできたのは、お笑いコンビ、アンジャッシュのグルメ芸人とかいう渡部健の不倫報道。いずれも週刊文春が放った。 私は杏は素敵…

Go To トラベルキャンペーン腰砕け(2020.07.16作成)

7月22日の連休から前倒し実施すると発表したものの、案の定、政府は旅費の何割かを政府が負担するこのキャンペーンから東京を除外し、見直しを決めた。コロナ感染者数がどんどん増加している最中だから、この腰砕けは当然である。 自身も退官後は観光事業に…

勝浦ホテル三日月とコロナ後の観光立国

2020年1月3日、丁度1年前、中国湖北省武漢市で新型コロナウイルス患者が報告された。1月29日、武漢からチャーター便で200名あまりの在留邦人が帰国し、千葉県勝浦市にあるホテル三日月に滞在して経過観察を受けた。 英断には違いないが ウイルスの実態がほと…

実像を知ってしまい、裏切られることもある

マスコミに持ち上げられて、今も評価が高い人物に実際に会ってがっかりしたことがある。勝手に理想化したこっちが悪いのだが、これほどマスコミが作り出すイメージやご本人のインタビューでの発言と実物とで落差があるとは。「なんてしょうもないおっさんな…